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伊豆長岡:後楽園会館
2006.08.19(21:14)
賛美歌13番を流せ
長岡の夜は早い、中心街は知らんが。
点在する飲み屋と共に長岡古奈地区の
夜の娯楽を担っているのがこの後楽園会館。
射的にパチンコにスマートボール。
カラフルだけど色褪せている温泉街の3種の神器。
かつて横浜のゴルゴ13と呼ばれたこの俺としては
射的の看板が目に入って素通りはできない。
かくして俺は缶チュウハイ片手に戦場に赴くことなったのである。
「用件を・・聞こうか」
プロはいきなりターゲットには近づかない。
まずはスマートボールをやりながら
ターゲットの様子を伺う。

ターゲットは台に陳列された人形やお菓子、ライター。
尚、一部のターゲットは回転する台に置かれており難易度が高い。
今回の狙撃は破壊を目的とするものではないので
いつものM16アサルトライフルは使わない。弾丸もコルクだ。
よし、依頼内容に偽りはない。
「分かった、引き受けよう」

ターゲットまでの距離は約3フィート。
風速は扇風機の風で「中」。
スコープは使わず目視でターゲットに狙いを定める。
「・・・・・・」
その時、店に3人組が入ってきた。
歴戦の老スナイパーとケツの青い駆け出しのスナイパーだ。
ケツの青いグリーンボーイが俺の背後に回る。
「俺の後ろに立つな」
ここは彼らの腕前を拝見といこう。
まずグリーンボーイ達が狙撃をする。
筋は良いが若いかな、まだ安定性に欠ける。
業を煮やした老スナイパーがグリーンボーイから銃を奪い
狙撃の体制に入る。
こ、これは伝説の飛行機撃ち!?

これはこの場所の「撃つ時は両足を地面に」という
ルールには反しているが、俺のルールには反していない。
俺は俺の狙撃を続けるまでだ。
正確な俺の狙撃にグリーンボーイ達が秘訣を聞いてくる。
こういう時、俺はいつもこう答えることにしている。
「10%の才能と20%の努力、30%の臆病さ、
残り40パーセントは・・・・運だろうな」

って、俺の話を聞かないでお前らも反則狙撃かよ!!
おっと取り乱してしまった。
心の乱れは弾道の乱れを呼ぶ。
プロは常に冷静でなくてはならない。
例え狙撃が喧騒の中で行う場合であってもだ。

再び冷静且つ正確な狙撃を繰り返す。
狙撃それ自体が俺の存在価値そのものなのであり、
その対価である景品には全く興味がない。
狙撃が芳しくなかったグリーンボーイ達に景品を渡す。
俺の神業に触れたグリーンボーイ達は俺に握手を求めてくる。
「俺は利き腕を人に預けるほど自信家じゃない」
颯爽と店を後にし、煙草に火をつける。
「まずい!エクアドル産か」
(マクィス13:長岡の墓標 了)
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